2010年08月03日
普通ポルトランドセメントで「Smile」「 David Gilmour」
「一生懸命、見本を見せる先生の真前で、一切興味を示さないしたたかな16歳」
職業訓練校の座学では、左官で使用する材料やその材質についてこと細かく教えてもらった。
どの先生も、教科書に記載されていない、経験に基づいた実務的な話を一生懸命してくれたのだが、
上の写真の通り、ほとんど興味を示さない16歳たちに、先生方も相当頭を痛めていた。
特に、40年以上も左官職人として現場を踏んできた白髪先生は、職人気質の気の短さもあって、
途中でキレてしまって授業を放り投げるわ、教科書を投げつけるわ、ランボーみたいに乱暴者だった。
ある日の実習時間のことだった。
いつものように、白髪ランボー先生がキレて何やら叫んでいる。
「またかよ~!」
「今度は何を怒らせたんだ~?」
なんて、これまたいつものように大人メンツは冷ややかに笑いながら声の方向に目をやった。
しかし、何だかいつもと違う雰囲気が漂っている。
いつもなら、誰が怒られているのか確認すれば、後は自分の作業に没頭するのだが、
怒られている16歳少年も完全にブチ切れて、果敢にも白髪ランボー先生に噛み付いている姿に、
しばし、大人メンツも目が離せない状況になった。
「だから、普通セメントってどれか~?て聞いただけだろ、わからんから聞いたんだろ」
「お前、学校に来て3ヶ月も経つのに、普通セメントもわからんのか?」
「授業の時に、ポルトランドセメントしか習ってないさ~」
「お前なんかは、授業はサボるし、出てきても話は聞かんし、だからわからないんだ」
「は~、だから、どれよ~、普通セメントって聞いてないし」
そんな押し問答で、二人とも益々エキサイトファイティング状態になってきた。
「ぐだぐだ言わないで、早く普通センメントを持って来い」
「は~、ちゃんと教えもしないくせいに、何がよ~、わじるやっさ~(怒るぜ)」
「なに~!!!」
白髪ランボー先生の怒りは頂点に達したようで、荷車の取っ手を蹴飛ばす音がした。
かなり緊迫した状況で、白髪ランボー先生の次の声を皆が待っていた。
すると、激しい怒りの声で、
「オイ!お前、後ろに来い、なめるなよ~」と、校舎後方へスタスタ歩き出した。
肩で風を切る姿が、まるで菅原文太のようだった。
冷ややかな目の大人たちも、この白髪ランボー先生の発言と行動ニヤニヤ顔、
「中学生の喧嘩かよ!」「いくちないくとぅ(何歳だから)」「笑わすっさ~(笑わせるな~)」「先生かあれ?」
16歳少年は、先生を無視して、そのまま学校を出て行ってしまった。
還暦間近のエキサイティング職人先生は、本気で殴り合いをするつもりだったのだろうか?
普通ポルトランドセメントで、ここまでエキサイトできる先生って最高に面白い!
真面目なんだよね~、とても、この先生、ちゃんと左官を教えたいって言う愛情なんだけどね。
と言うことで、本日はニヤニヤに引っ掛けて「スマイル」と言うことで、よろしく。
http://www.youtube.com/watch?v=x6oLgX-Tzh4&feature=related
Posted by takichi at 21:45│Comments(0)
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